インターネットで相談に答えている弁護士は?
はっきりしているのは、
インターネット上の相談なんか、簡単に信用しないでね
ってことです。
インターネットは確かに便利ですが、素人がインターネットで調べた知識で間違いなく法律問題を解決できるくらいであれば、法律の専門家なんて、いらなくなります。
そんなことは冷静に考えれば当たり前のことなんですが、追い詰められたときに、自分なりに必死になって調べた知識には、いつも以上の価値を見いだしてしまうものです。
仮に、調べた知識自体が正しくても、ダメです。
それを具体的な事件に当てはめ、妥当な解決を導くことが必要です。それをインターネット上で教えてくれる人は、いません。
インターネットで医療知識を調べて、仮にそれが正しくても、自分で手術はできませんよね?
インターネットの法律相談での回答は、一見すると、具体的な事件についての質問に対して法律を当てはめた回答のような形をとっていても、実際には違います。
まず、弁護士からの質問が自由にできないため、弁護士が事件を正確に把握していません。それに、弁護士が証拠を全く見ていません。依頼者の声や表情や態度も、わかりません(究極的には、それも一種の証拠です)。
そういう形式で法律相談を希望するお客さんが来たら、どんな弁護士でも、すぐにお帰りいただきますよ。インターネットで回答している当の弁護士でも、そうでしょう。
なのに、なんでインターネットでなら、答えられるんでしょうね?
インターネットの法律相談は、あくまでも質問者の書いた範囲の例題に対して、一般論を回答しているにすぎません。「法律相談」ではなく、いわば「法律クイズ」のようなものです。
テレビ番組で、同じ問題についての弁護士の意見が割れるのと同じで、正解は出ないのが正解なのです。
テレビ番組では、はじめから問題解決に必要な情報が絶対的に不足しています。その不足している部分の情報を弁護士が勝手に補って回答するので、答えが割れるのです。テレビ番組は、そのほうがおもしろいから、それでいいのです。
インターネット上の相談も、答える側の弁護士にしてみれば、全く同じなんです。
それなのに「あなたの場合は~」と言って回答するわけですから、はじめから間違っていてもいいことになっているのです。弁護士に責任なんてありません。弁護士が実名を出して回答していても、同じですよ。
法律上の間違いさえなければ、たとえそれが相談者の問題に対する正しい解決策ではなくても、悪いのは、すべての前提情報を正確に細かく書いて質問しなかったほうなんです。弁護士は悪くありません。
テレビ番組の回答がどれも間違いではないのと、同じ理屈です。
弁護士は、それがわかっていて、回答しているのです。
質問するほうは、わかっていらっしゃらないことが多いのですが。
もちろん、インターネット上の質問で簡単に解決する問題もあることは、否定しません。現実に役に立つ回答もたくさんあります。
ただ、あなたの場合がそうかどうかは誰にも保証できません。それでもあえてインターネットで質問したいか、ということです。
もし、「風邪だ」とわかっていれば、治し方をインターネットで調べるのもいいでしょう。
しかし、それが肺炎や結核かもしれないときに、風邪の治し方を調べても意味がありませんし、下手すると手遅れになります。
弁護士がインターネットの法律相談で回答するのは、たくさん回答するほど、サイト上で自分の写真付き広告が上位に表示されるなどの得点が与えられているからです。
あるいは、単なる自己満足とか暇つぶしかもしれません。意外に高名な先生の回答が混じっていることも、ないとは言えません。
ただ、それはその先生が高名だと知っているからわかるのであって、質問と回答の内容は、あくまでもクイズレベルです。
クイズを見て弁護士を探すなんて、やめませんか?
なお、メールでの法律相談を受け付ける弁護士や法律事務所は、サービスが良いのではなく、むしろ避けたほうがよいでしょう。
上に書いた理由で、まともな回答など、できるはずがないからです。それでもやるのは、よほど暇な弁護士か、悪質な集客です。
適当にさわりの部分だけ回答されて、これ以上は面談が必要と言われることになる可能性が高いでしょう。